2014年の不動産取引額が7年ぶりに5兆円台を回復したそうですが(2月5日付日本経済新聞)、昨年の場合、円安になったことによる海外の企業やファンドの取引が増えたことと、上場REITが低調ななか金融機関が投資する非上場の私募REITの規模が拡大したことなど、主に企業の不動産取引が活発になったことが取引額を押し上げた要因と言われています。

実際、日々不動産を扱っていて(特に関西においては)取引が活発になっているような実感は全くありません。事業用不動産については、昨年1年間そして年が明けてからも業者が買い取りできるような物件は相変わらず少なく、物件が出たとしても値段が高いため採算に合わず・・・といった状態が続いています。一般の方が購入する新築の住宅(戸建・マンション)の価格の推移に比べて土地の仕入れ価格や建築費等のコストが急激に上がっているので、建売業者やマンションデベロッパーは大変苦労されているようです。

私のまわりの不動産業者でも、今までの専門分野外として保有目的で収益物件を購入される建売業者や、将来マンション用地になりそうな場所の収益物件を何年間か賃料を得ながら長い目でみて購入されるマンションデベロッパーもあったりして様子を見ている感じでしょうか。収益投資用収益物件にしても、金融機関の締め付けが厳しくないので売主も強気になり、一方で利回りが低いと買主の購入意欲も強まらない状況です。

実需の面では、住宅ローンの金利が低くなるのは良いのですが、一般的に住宅を購入する30~40代の方の購入意欲が高くなるには生活面や給与面といった社会的に安定した要因でもう少し時間がかかりそうに思えます。そもそも空き家がこれだけ増えてくると、「需要を供給」といった経済の大原則からすれば供給するプレーヤーは弱い立場になります。いかに政策の力を借りて(利用して)生き残るかということも考えていかないといけません。